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「セイバーメトリクスのススメ(初級編)」

どうも、コラム初挑戦のヒトシです。
待ちに待ったこの企画、テーマは入団当初より決めていました。
それはズバリ、「セイバーメトリクス」です!
ロッチ入団後すぐに皆様にデータを持っていったことがありますが、この機会に更に詳しく知っていただきたいと思い、今回のテーマとしました。

セイバーメトリクスというものは、元々はある個人、しかも野球未経験者が趣味で野球の統計をとり、データを分析したことがはじまりでした。
これは、バントや盗塁の非効率性を提唱するなど、野球のそれまでの常識を覆すような内容のものが多数あり、発表当初はあまり支持されるものではありませんでした。
しかし、コンピュータの普及により膨大な量のデータを保管でき、統計が容易になると、この考え方はアメリカ国内で大きく広まり、日本では「マネーボール」の発売により普及し始めました。
前置きはこのくらいにして、早速指標の解説に移りたいと思います。

まずはロッチのデータベースにもある「OPS」についてご紹介しましょう。

OPSは「出塁率+長打率」によって計算されます。
これは、打撃の評価指標として最もポピュラーな「打率」の問題点を解消する画期的な指標なのですが、計算式の理由はまた次の機会にしたいと思います。
 
それではロッチの昨年と今期前半のOPS上位者を見てみましょう。

 昨年
1位:ヨシトさん 1.046
2位:はたけさん 1.021
3位:ダツさん 0.911

 今期前半戦
1位:はたけさん 1.102
2位:ダツさん 0.936
3位:トモさん 0.915

このように、やはりロッチでも有数の好打者、強打者が名を連ねます。
OPSは0.800以上で優秀、1.000を超えると超優秀と評価できます。

ちなみに2010年プロ野球OPS上位者は以下のとおりです。

セ・リーグ
和田一浩 1.061
阿部慎之介 0.976
小笠原道大 0.953

パ・リーグ
カブレラ 0.997
T−岡田 0.933
多村仁志 0.924

次に、今期中間発表でも載せて頂いたRC27について解説しましょう。
RC27は、一人の選手が9人いて試合をしたらどのくらいの得点を挙げられるかという、少し変わった考え方の指標です。
これは、OPSにおけるいくつかの問題点を解消した指標といえます。
RC27では盗塁・盗塁死が評価の対象となり、走塁能力も評価に加えることが可能となります。また、犠打、犠飛、三振、併殺打も評価の対象に加えています。
よって、RC27はOPSよりも更に多角的に評価でき、その選手の攻撃面での貢献度(得点能力)をより適正に評価することができる指標といえます。
盗塁、盗塁死、犠打、犠飛、三振、併殺打にはそれぞれ統計データより算出された係数が用いられ、OPSより更に高い得点との相関性が認められています。

今期前半戦トップ3
1位ダツさん13.95
2位はたけさん13.43
3位トモさん11.57

メンバーはOPS上位3名と同じですが、ダツさんとハタケさんの順番が入れ替わっています。
これは、先ほど挙げたOPSとRC27の違いのうち、特に盗塁が影響しています。ハタケさんも盗塁数15と決して少なくはないのですが、ダツさんは32と2倍以上の差があります。また、三振によるマイナスも影響していると考えられます。

2010年プロ野球トップ3
セ・リーグ
和田一浩 10.05
青木宣親 8.87
小笠原道大 8.07

パ・リーグ
カブレラ 8.73
西岡剛 7.81
多村仁志 7.37


これまでは選手の貢献度の評価指標を見てきましたが、次は視点を変えて選手のタイプを見分ける指標をみていきます。
 
まずは、「IsoP」をご紹介します。
これは、「長打率−打率」によって計算されます。
長打率はもちろん強打者を図る指標といえますが、「塁打率」の方がより正確にその意味を表しています。
IsoPでは、長打率から単打を抜くため、打率に左右されないその選手の純粋な長打力を表すことができるといえます。

この指標は高ければ高いほど長打力が優れていると評価されます。
今期前半戦では、はたけさんが0.284とダントツの成績を残しており、2位のペニーの0.148、3位のヒメ君の0.118を大きく引き離しています。
やはりロッチの長距離砲といえばハタケさんでしょう。
ちなみに前半戦には入っていませんが、8/15現在、たいぞーのIsoPは0.244。ハタケさんのライバルはたいぞーになるのではないでしょうか?

次にご紹介するのは、「IsoD」です。
これは、「出塁率−打率」で計算されます。
つまり、どのくらい四死球で出塁できたかを示す「選球眼」の指標といえます。
この指標は、「忍耐力」を示す指標ともいわれます。要するに、積極的な打者は初球からガンガン打っていくため四球が少なく、待球タイプの選手は自然と四球も増えるということです。
この数値はプロ野球では0.07〜0.08が合格点であり、0.1を超えると優秀であるといわれています。
ロッチでのこの指標の上位者は、トモさん、テツさん、ペニーです。
中でもトモさんは0.172と異次元の数値をみせており、これらの選手は待球タイプといえます。
逆にIsoDが低い選手にはダツさん、ヒメ君、ミノルさんが上げられます。
皆さん早打ちのイメージがあるのではないでしょうか?
 
このIsoDとあわせて知っておきたい指標は、「BB/K」です。
これは四球と三振の比率を表し、IsoDと同じく選球眼の指標です。
ボールを待っていればカウントは悪くなり、三振も多くなりやすいです。三振することなく四球を選べる選手こそが真の意味での「選球眼」を持っているといえます。

ちなみに昨年及び今期前半戦では、どちらもテツさんが1位でした。
テツさんはIsoDでも2年連続で2位、PA/BB(1四球を選ぶのに必要な打席数)は昨年1位、今期前半戦2位と、ロッチではトップレベルの選球眼をもっているといえます。
ロッチ1熱い男・テツさんは意外にも(?)打席では冷静にボールを見極めているようです。

セイバーメトリクスの観点は非常に面白く、今まで気にも留めなかったようなこと、選手の意外な一面が見えてきます。
これを機に、打率やホームランの数だけでなく、セイバーメトリクスの指標にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
少しでも興味を持っていただければ幸いに思います。

以上

草野 光太郎
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