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「恋愛不振の理由」


千葉ロッチに入団して1年が経ちました、パンチです(まだ1年です)。
ロッチの活動に初めて参加させていただいた時に、Punch Drunkerのユニホームを着ていかなかったら、何て呼ばれていたのだろうかと思う今日この頃です。

さて、2回目のコラムの機会をいただき、何を書こうかと悩みに悩んだ挙句、これにしました。
「○○不振の理由」シリーズ第2弾、「恋愛不振の理由」でいきたいと思います。かなりマニアックなのですが、最後までお付き合い願います。

ロッチではほとんど話したことがないので、ご存知の方はあまりいらっしゃらないと思うのですが、自分自身の専門は応用化学(Applied Chemistry)です。(青春の思い出がたっぷりの?)大学院では高分子合成化学という学問を専攻し、日々研究(と恋愛に?)没頭していました。
高分子っていうのは、ペットボトルとかコンタクトレンズとかユニホームとか接着剤とかはたまた人間の体だってそうですねー。逆に高分子ではないものを探す方が難しいっていうくらい身近な存在です。化学的な定義では、「分子量1万以上の分子」で「炭素原子と水素原子を中心とし酸素、窒素、硫黄などが少量含まれる」ことがあるものです。高分子の面白さは、含まれている原子の種類は炭素、水素、酸素、窒素、あとたまに硫黄とかそんな程度で少ないのに、その結合の仕方や並び方によって何千万、何億もの違った性質を持つ物質ができるっていうことです。例えば、スーパーの袋と、タッパー。使われている原子は炭素と水素だけです。同じ原子しか含まれていないのに、その反応過程で、構造を制御する触媒を入れるか入れないか、それだけで、性質の違う物ができます。その理由まで書くとロッチのサーバーがパンクするのでやめておきます。簡単に言うとそういうことで、高分子合成化学っていうのは、反応条件や組み合わせを変えてさまざまな構造、強度、熱伝導性などの優れた新しい性質をもった物質を作ろうという分野です。逆に、なぜそういう性質のものができたのかっていうところを分析して反応のメカニズムを解明していたのが自分のいた研究室です。
 思えば子どもの頃から化学が好きでした。小学生の頃、炭酸飲料のシュワシュワが二酸化炭素であることを知り、ジュースにストローを使って息を吹き込んだら炭酸になるんじゃないかと思ってずっとぶくぶくやっていたことがあります。でも当然に炭酸にはなりませんでした。当時は不思議でたまりませんでした。高校生になってヘンリーの法則を学んだときに、水に二酸化炭素を溶かすには温度を下げ、無理やり高い圧力で押し込まなければならないことを知ってなるほどなと納得しました。これは一例ですが、まだ他にもあります。
化学を学ぼうと思ったのは、単純な好奇心ですねー。でも本当に化学(と恋愛?)がわかるようになったのは、大学で教えてもらったとある先生の格言。
「化学反応とは恋愛そのものなんですよ。」
何言ってんだと最初は思いましたが、まさにその通りだと思います。そうやって化学反応を捉えるようになると、ますます化学が面白く、よりわかるようになりました。
というわけでここからはちょっとした化学反応講座です。
簡単な化学反応A+B→ABを考えます。
AとBが反応してABになるってどういうことでしょうか。なぜAとBが反応するんでしょうか。それはAとBがそれぞれでいるよりも、ABに変化した方が安定している(居心地がいい)っていうことなんです。恋愛みたいでしょ??A君、Bちゃん、それぞれでいるよりくっついた(付き合った状態)方が、居心地が良いんです。逆に言うと、ABというくっついた状態が、反応前より安定化しないのであればそういう反応は起きません。当たり前ですよね。何かの間違いで起こることもありますが、それはすぐに元に戻ってしまうのです(=逆反応)。
ということは、できるもの(生成物)が安定化するのであれば化学反応が起きるのか、というとそうでもありません。基本的な反応の考え方を理解するにはもうちょっとステップが必要です。恋愛もそうですよね。そう、アプローチであったり告白だったりのステップがありますよね。化学反応にもあるんですよ、告白が。笑

さてここからは図を見てください。横軸は反応座標(=時の流れ)、縦軸は内部エネルギー(やる気とかテンション)です。




左側が反応前(A+B、付き合う前)、右側が生成系(A-B、付き合った状態)です。生成系の方がエネルギー的に安定していますよね。そしてその間には山が・・・。
実は安定状態(付き合った状態)になる前には必ず越えるべき山(遷移状態=告白)があるんです。
この山の高さを活性化エネルギーといいます。この山を越えなければ反応しません。でも、反応した方が最終的には安定するので、頑張って物質AはBと反応しようとするわけです。となると、その山はどうやって越えるのか、がポイントになってきます。

要するにAがBにアタックするためにどう頑張るのかということです。
その方法として、化学的には次の3つが考えられます。
@ 温度を上げて物質の運動エネルギーを上昇させる。
A 触媒を入れて、山の高さ(活性化エネルギー)そのものを下げる(図で言うと点線の山になることを示します)。
B 濃度を上げて、無理やりBという物質と衝突する回数を増やす(これを衝突頻度といいます)。

これを恋愛に置き換えると
@ 周囲から刺激を受けて、自分自身の恋愛へのテンションを上げる(=モチベーションアップ)。
A AとBをくっつけようとする第3者(仲介役の存在)が手助けする
B 何回も告白する

どうですか??
化学反応は多種多様ありますが、全てこの考え方が基本になっています。
思ったように反応がいかないときには、その条件に応じて上の@〜Bのどれを使って反応を促そうか、とか考えたりするわけです。

化学の原理・原則はいろいろあるのですが、全て恋愛に置き換えることができます。
このように恋愛に置き換えることができるようになってから、ますます化学が面白いと感じるようになりました。

本当に大学院時代は化学と恋愛の妄想に、(いや現実も?)没頭していたと思います。
化学を考えてると自然と恋愛へのモチベーションも上がるんですよねー。
就職してからの恋愛不振(?)は、化学の研究の現場から離れているからなのかもしれません。
活性化エネルギーが不足しています(@)。あと会う回数が足りてないですね(B)。あ、Aの力も必要だ・・・笑

長々とすみません。
ここまで読んでくださった方、お疲れ様でした。
ありがとうございました。

実はヤクルトスワローズ以上にアツく語れる分野だったりします。

以上

三輪 祐太
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