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「終わりの見えないJ君の苦悩の日々・・・」

 リクエストがありましたので、再びJ君のことについて書きたいと思います。
詳しくは前回のコラムを見ていただきたいのですが、簡単に彼を紹介すると、彼はソロモン諸島からやってきた酒好きの時間にルーズな留学生(40歳くらい)です。この留学生がいろいろな問題を巻き起こしてくれたのです。そのたびに、

「すんません」

と、微妙に反省しているのかわからない日本語で謝ってくるのですが、本当に反省しているのかどうかわからないほど多くの失態を犯してきました。ちなみに、おそらくこの「すんません」という言葉が、唯一彼が意味を理解して話すことができていた日本語でありました。1年間も日本にいたのに・・・。


 今回お話しするのは、J君が無事一人で広島から帰ってきてからのことです(2006年10月)。彼の広島での自分勝手な行動にブチ切れていた私は、

「木曜日に私の所に来てください。いろいろと話すことがあるから」(in English)


とだけ伝え、電話を切りました。すると、さすがに反省したJ君は自分の所にやってきて、当時25歳であった若造の自分に、


「ごめんなさい、ごめんなさい」(in Japanese)


とひたすら平謝り。ここで、気付いた人もいるかもしれませんが、ある変化が生じました。そう、謝り方が「すんません」ではなく「ごめんなさい」に変化したのです。どうやら後から聞いた話では、ブチ切れていた自分を恐れ、自分の先輩に「Yoshito」と「angry」というキーワードを連発して、本気の謝り方を教えてもらったらしいのです。「ごめんなさい」が本気の謝り方かどうかは微妙ですが、彼の本気で謝る気持ちは伝わりました。最後に事前に用意しといた


「Don't have it your way!」(勝手なことをするな!)


という言葉を贈り、その日は彼を帰しました。これで、彼もようやく改心してくれたのです。



・・・・と言いたいところですが、なんとその3日後、彼はまたやらかしました。その日は彼の研究の補助をしていた自分が彼のためにわざわざ本を他大学の図書館から取り寄せ、彼の研究について話すつもりでした。約束した午前10時・・・



J君来ねーよ!!!!



J君はたまに忘れてしまうので、前日の夕方に何度も明日の朝の10時に自分の所に来いと伝えました。
もちろん英語で。
そして、笑顔でJ君はうなずいていました。
それでもJ君は



来ねーよー!!!!!



そして「I'm angry.」の状態になった俺は、すぐJ君に電話。
そしたら・・・・



「こちらはauです。ただいまお客様のご都合でおつなぎできません」



・・・ついに俺は拒否されてしまったのでしょうか。
先生にも言われました。



「あなたのことさけてるんじゃないの?」



否定できません。
とりあえず彼と連絡を取らねば、と思っていたら知らない番号から電話が。

J君でした。

話を聞いたところ、どうやら料金未払いで携帯を止められたらしい。
そして、友人の携帯を借りて電話してきたのです。
しかし、携帯を止められて連絡できなかったとはいえ、彼が無断で休んだことは事実です。
なので、彼に「無断で休んだ」という事実を先生に伝えるということだけ言って電話を切りました。


すると数分後、凄い勢いでJ君が私のもとにやってきました。
しかもなぜか裸足で・・・。
あわてて靴を履いてくるのを忘れたらしい。


「お前は裸足のゲンか?!」


とつっこみたかったけど、そんなこと言っても彼はわからないのでやめておきました。
で、なんでそんなに焦っていたのかというと、先生に言われるのがよっぽど嫌だったようです
その週の初めに先生に怒られて泣いてしまったらしく、もう先生を怒らせたくなかったみたいです。


それはわかるとしても、靴くらい履いてこようよJ君。
で、しばらくして帰るときに、「裸足じゃ危ないぞ」といったら、



「私の国ではいつも裸足だから大丈夫」(in English)



といって、裸足で帰っていきました。
ここは日本ですよ。
コンクリートやらアスファルトには何が落ちているかわかりませんよ。
そんなこと彼には関係ないみたいです。
やはり彼の基準は、いつまでたっても母国のソロモンなのでした。



そんなJ君の研究もいよいよ大詰めに。
彼の考えた(大半が自分と先生であったが・・・)授業が実践されました。
ただ、残念なことに彼はその日風邪をひいてしまい、授業を見ることができなかったのです。
まあそれは仕方ないとして、その後、ゼミでその授業のことについて話し合うことになりました。
しかし、J君は風邪が治らなかったらしく、


「まだ風邪が治らないから、ゼミに行けない」(in English)


と連絡が来ました。


・・・ゼミの3日も前に。


普段は、遅刻したり約束忘れたりするくせに、休む連絡だけは早いようです。
しかし、ゼミまでの3日で風邪を何とか治そうとしないところが、さすがJ君と言いたいですね・・・。


そんなこんなで、彼の研究もほぼ終わりを告げ、日本での生活も残り3カ月に。
その残りの3カ月のお話は、またまたリクエストがあったら書くことにしましょう・・・。

ヨシト
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